喫茶リリィで癒しの時間を。
「わあ、以心伝心ですね」
嬉しそうに微笑むさゆりさんを見て、胸がキュンとしめつけられた。
俺と心が通じ合って喜ぶなんて、まさか、もしかして、少しは俺に好意を抱いているのかもしれない?
「お、俺もすごく嬉しいです! さゆりさんと分かり合えただなんて」
「そうですよね。なんだか……家族みたいですよね。実は私、冬馬くんがアルバイトに来てくれて、歳の離れた弟が出来たみたいで嬉しいんですよ」
「…………弟、ですか」
「はい。ああ、ついに本人に言ってしまいました! こういうの照れますね」
「そ、そうですね」
さゆりさんはたしか二十五歳。俺は十六歳だから九歳差だ。弟のように思われるのは自然なことだと思うけど、恋愛対象として見られていないのはキツイな。
俺のことを可愛がってくれるのは嬉しいんだけど、そうじゃないんだよなぁ。
ちゃんと異性として、一人の男として見られたいんだ。