喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「さゆりちゃん、いろいろ迷惑をかけちゃってるようでごめんねえ」


「迷惑だなんて、そんな風に思うわけないですよ。どうぞこちらにおかけください。何にしますか?」


「そうだねえ……暑いから炭酸を飲みたい気分だけど、コーラなんて置いてないよね?」


「ございますよ。少々お待ちくださいね」


 さゆりさんがコーラを準備している間、俺はお水とおしぼりを用意した。


「ありがとね。ああ、たまに買いにきてくれる子だね。さゆりちゃんとこで働いていたなんて知らなかったよ」


「自己紹介が遅れてすみません。四月からアルバイトをさせてもらってます、宇垣冬馬といいます」


「あら、丁寧なこと。あたしは八百屋の白井すみ子だよ。よろしくね」


「よろしくお願いします」


 八百屋のおばさんと自己紹介をしあっていると、さゆりさんがコーラの入ったグラスをもって、カウンターの外に出た。

 おばさんの前にコーラを置き、彼女の隣に腰を下ろす。


 

 
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