喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「実可子ちゃんは今夏休みよね。毎日どんな風に過ごしているの?」


「そうだなあ、友達と遊んだり、家でテレビを見たり、たまにお店を手伝っているよ」


 実可子ちゃんは、俺やジジイトリオがいても気にせず、さゆりさんとの会話を楽しんでいるようだ。母親に似て堂々としている。


「そうなのね。お友達とはどんなことをして遊んでいるの?」


「うーん、そうだなあ。みんなで海とかプールに行くときもあれば、家で遊ぶ時もあるよ」


「実可子ちゃんお友達多そうだものね。とても楽しそうだわ」


「うん、毎日楽しいよ!」


 さゆりさんは、実可子ちゃんに友達関係の話を振って、悩んでいることを聞き出そうとしているのだと思う。
 最終的に気に入らない友達の話になり、いじめの話になることを期待しているのだろう。


 しかし、実可子ちゃんの口から出るのは楽しい話ばかりで、後ろ向きな内容は一つもない。


 これからどうやって、いじめの話を聞き出していくんだろうか。
 あんまり長引いてしまうと、チーズケーキを食べ終えて帰ってしまうかもしれない。


 


 

 
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