喫茶リリィで癒しの時間を。

 
 ふと、ジジイトリオはどうしているのか気になってテーブル席に目をやると、鈴木のおっさんは怖い顔でカウンター席をじっと見ていた。
 他の二人は、静かに新聞や文庫本を読んでいる。


 鈴木のおっさんが怖い顔なのはいつものことだけど、なんか嫌な予感がする。

 なんていうか、イライラし始めているというか、この状態をじれったく感じているような気がしてならない。

 そのうえ、八百屋のおばさんに証明するとかなんとか意気込んでいた。
 いつも以上に、面倒くさいおっさんになっている気がする。



「――さゆりちゃん、やっぱりこういうのは、単刀直入に聞くべきだぞ」


 静かな店内に、おっさんの野太い声が響き渡る。最悪だ、嫌な予感が的中してしまった。


 その声は、穏やかであたたかな雰囲気をぶち壊したけれど……正直、おっさんが間違っているとも思えなかった。

 なぜなら、俺はこれが“かりそめの温かさ”だと知っているからだろう。


「鈴木さん……」


「さゆりちゃんが言いにくいんだったら、代わりにワシが聞いてやる」


 実可子ちゃんは、何が起こっているのかわからないようで、きょとんとした顔でおっさんを見つめていた。


 
 
 
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