喫茶リリィで癒しの時間を。
 

「そうです。噂の真相を直接本人に確かめたくて、さゆりさんに協力いただいたのですよ。ですので、彼女を責めないであげてください」


 さすが石川さん、あいちゃんから話を聞いたことを隠しつつ、さゆりさんのフォローもしている。

 こういう気の利く大人になりたい、と素直に思った。鈴木のおっさんとは大違いだ。


「僕たちはみんな、実可子ちゃんが赤ちゃんのころから知っているし、大切に想っているんだよ。だから、実可子ちゃんから話を聞きたいと思ってるんだ」

 さらに、溝口さんも穏やかに話しかける。今日は、いつもに増してお地蔵様に見えるよ。


「たい焼き屋のおじさん……」


 穏やかな二人のおじさんのおかげで、実可子ちゃんは少し落ち着いたようだった。


「実可子ちゃん、嘘をついたことは心から謝るわ。ごめんなさい。でもね、わかってほしい。すべては実可子ちゃんを心配しているからなの。だから、どうか……話を聞かせてくれる?」


「話って、別に聞かせるようなことは何もないよ。わたしは、いじめなんてしてない。ただ……」


 

 
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