喫茶リリィで癒しの時間を。
「ただ?」
「クラスにちょっと調子に乗ってる子がいたから、懲らしめたかっただけだよ」
一時はひやっとしたけれど、なんとかなりそうだと思った。
実可子ちゃんは俺たちに、自分の気持ちを話そうとしてくれている。良かった。
……そう思ったころに爆弾を落とすのが、鈴木のおっさんという男だ。
「それがいじめって言うんだろ! 悪いことをしているという自覚がないんか!」
「おっさん、乱暴な言い方は止めろって!」
その発言が状況を悪くさせると、どうしてわからないのだろう。注意をしても、本人は全く悪びれていない。
「いじめなんかしてない! そもそも、悪いのはあの子のほうなんだから!」
再び実可子ちゃんの感情が乱れる。今にも泣きだしそうな顔で、訴えるように叫んでいた。
せっかくうまくまとまろうとしていたのに、ぶち壊しだ。
「あの子のほうが悪いって、何か嫌なことをされたの?」
さゆりさんが尋ねると、実可子ちゃんは堰を切ったように話し始めた。