喫茶リリィで癒しの時間を。
こういう友達こそ、大事にすべきで、貴重な存在なんだと思う。
家に帰ったらすぐに謝って仲直りしよう、そう心に誓った。
「……そうなの? さゆりお姉ちゃん」
「もちろん、そうよ。みんな実可子ちゃんのことが可愛くて大好きだから、心配しているの」
「そうだったんだ、ありがとう。……おじさんたちも、ありがとう」
お礼の気持ちを口にしたとたん、実可子ちゃんの目から大粒の涙があふれだした。
もしかしたら、ずっと泣くのを我慢していたのかもしれない。
さゆりさんはカウンターから出てくると、実可子ちゃんの背中をさすりながらカウンター席に誘導した。
「オレンジジュースでも飲んで落ち着いて?」
「……うん」
実可子ちゃんはオレンジジュースを一口飲むと、ふうと息を吐いた。ため息というよりは深呼吸をして落ち着こうとしているようだった。