らずべり味〔徒然日記〕
先輩は何も言わず、ついでにタクシードライバーも黙った。




そして車は、バスセンターに着く。




中に入ると、こちらは動いていた。




おまけに臨時便まで出してくれていて、思った以上に早く乗る事が出来た。





「可能な限り高速道路を行きますが、状況によっては一般道へ降ります。所要時間が予測出来ませんが、ご了承下さい。」




バスの運転手さんは、そう言った。




こちらは、目的地まで行ってくれるだけでも有難いのに、何という気遣い!





「あの時タクシー止められても、私降りたくなかったんだけど…」



バスの中で、先輩が言った。




「私も降りる気、なかったですよ。」



私は平然と答える。



「でもあの言い方は、ないでしょう? こっちは困り果ててるのに。」




私のセリフに先輩は苦笑い。




はい、私はこういう気の強い女です。




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