らずべり味〔徒然日記〕
約束の店には、もう相手の方とオバちゃんが来ていた。



挨拶をし、「さて、お食事でもしましょうか」という雰囲気になった時。




「あの… 出ませんか?」



私に向かって、相手の男性が声をかけてきた。




一瞬、みんながポカンとした。



それって、二人で他の店に行こうって事?




私が思った頃、みんなも察したようで、




「そうね、若い人同志、行ってらっしゃい。」



と、いかにも『お見合い』という言葉に背中を押され、二人で車に乗った。





「いや〜 すいません。堅苦しいの、苦手で。」



そう言って車を走らせる。



せっかく集まってくれた母たちを放って、さっさと出るのもどうかと思ったが。



とりあえず、自己紹介がてら、話を続けた。





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