それでは始めましょう
「で?今日はなんで変なの?」

話は戻ってしまったらしい。

「何があったんだ?」

真剣で真っ直ぐな瞳に、これ以上ふざけるな、と言われてるみたいだ。

「んー、ホントにね、何もないの」

『ん?』と片方の眉をあげ不機嫌な顔をしたガンちゃんには申し訳ないのだけれど

「何もないの、私」

「つっきー?」

今度は心配そうに私を見るガンちゃんに私はうっすらと笑ってみせた。

「毎日さ、家と会社の往復でね、たまに、ガンちゃんとかとご飯食べ行ったり、飲みいったりしてさ。週末は買い物とか行ったりなんかもするけど。でも、基本、何もないのね」

ボソボソと話だした私を、一言も聞き逃さないようにか、自分のデスクから、私の隣のデスクの椅子にガンちゃんは移動してきた。座るのを待っていると、『聞いてるから、話せ』と優しい声で言った。

「すっごく嬉しい事も、すっごく楽しい事も、すっごく悲しい事も、最近感じてないなぁって。毎日が淡々と過ぎていくって言うか…ありゃ、なに言ってるのかわかんなくなっちゃった…」
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