* Wonder-room…No.7 *

理不尽な約束

朝は誰にも平等にやって来る

今日ほど 気が重い朝はない

自分に気合いを入れる為に
顔を洗い、戦闘体制のメイクをし、
上品なスーツを久しぶりに着た。

私は 小鳥遊家の一人娘。
兄が家を継ぐと決まってはいるが、
昔から 自由はなかった。

幼少の頃からエスカレーターの学校に通わされ いつも 何処へ行くのも執事と運転手付きの窮屈さ。

テレビで見る 普通の暮らしが スゴく羨ましく 憧れだった。

カフェテリアに朝食を食べに行くと

「え、え~。もしかしてお姉さん?」

琉衣君が口をポカンと開いて驚いてる

「おはよう琉衣君。私そんなに違うかな?」

「もぅ 俺心臓ヤバい事になってる。
お姉さん、美人さんだね…超綺麗。」

「いつもは そんな事言わないクセに…琉衣君って 女の子喜ばすの上手いね!でも、ありがとう。普段言われないから 嬉しいかも…」

嬉しいからニコっと自然に笑顔になる

琉衣君は急に近くに来て、
ちゅっと音を立ててキスをする

「あ~僕今からお仕事だけど、行きたくない。お姉さんとデートしたいな…」

フフ…

「ダメだよ。そんな事言っちゃ。
私も今から実家に帰るんだ。
ちゃんとお仕事行こうね!」

「お姉さんからキスしてくれたら、僕頑張れるんだけどな‼お願い。ねぇ?」

キラキラの目をしたアイドルフェイス…可愛いから つい甘くなっちゃう。
チュっと琉衣君の頬にキス。

「頑張れ、琉衣君」

やだ…固まってる?

「こらこら!!寧々 サービスし過ぎだろ?
ほら、用意出来てんのか?琉衣も時間押しだろ、早く行けよ‼」

「ちぇ、いつも愛斗さん俺の邪魔するよね。はいはい、行くよ。お姉さん、またね~♪」

琉衣君が出て行った後 残された二人…
何故か不機嫌モードの愛斗さんがいる

「朝ごはんも 美味しく頂いたし、いつでも 出れます。愛斗さんの時間に合わせますので、よろしくお願いします‼」

「わかった。10時に出掛けるから
後でな。」

あれ?さっきの不機嫌は何処へやら、
機嫌よく 部屋を出て行く愛斗さん

…さて 私も今からの精神的によろしくない
実家での攻防に、頑張らなくちゃ!

改めて気を引きしめ 心積もりをするのであった…








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