* Wonder-room…No.7 *
執事の三神に連れられ お兄様の部屋の前まで行く。

「三神…やっぱり ここはパスしちゃダメ?」

「はい、残念ながら。寧々お嬢様、諦めて下さい。久しぶりに寧々お嬢様のお帰りを、大変喜んでいらっしゃるのです。」

コンコン。
はぁ…入らなければ。

「寧々久しぶり。おいで。三神は下がってくれ。」

「はい、では失礼致します。」

あぁ、三神さん行ってしまうのね。
私も退出したい…

「お兄様、ただいま戻りました。
私は夕方にマンションの方に戻ります。それまでは、お兄様と一緒にいますね。」

「寧々、よく顔を見せて…」

奏夢兄は いつもの様に 私を優しく抱き締める。

「それと、お兄様じゃないだろ?俺の名前は?」

「奏夢」
「はい、良くできました。寧々可愛い。」

小鳥遊 奏夢(たかなし そら)28才
小鳥遊company 次期社長
私の5才上の兄

才色兼備をかね揃えた、恐ろしく頭の切れ切れの男。私とは 顔は似ていない。本当に兄弟?と思われる位、悲しい事実。

そして、一番厄介なのは…
妹である私をウルトラ溺愛している事。

私が生まれてから ずっと23年間の間…キスさえもしてくる、危ない奏夢兄。

「寧々 ここに座ろうか?俺の側離れない様にね。」

ほら始まった。奏夢兄の溺愛濃厚タイムが…
私は この時間からも逃げたくて家出したんだ。

本人は気付いているのか、いないのか?異常な奏夢兄の私への愛情、何とか阻止できない?

今日は本当に 帰してくれるのか、
不安だらけで 顔がひきつる私だった。
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