* Wonder-room…No.7 *
誰かに付けられてる感はあるけれど、マンションにはコンサルジュもいるし、ガードキーがなければ マンション内には入れないから 安心だ…

早足でマンションまで帰った。心臓がバクバクなっている…昔を少し思い出してしまった。

小さい頃 1度誘拐されそうになった事がある。その時は 運良く兄が近くを通り 免れた。

マンション内に入り 安心した。だけど、足はガクガクとしていて、前に進むのが中々難しい。

「だから 一人にはしたくないんだよ…」

はい?私の後ろで よく聞いた事のある声がする…後ろを振り返ると…

何でいるの?どうして こんなに早く見つかっちゃうの?ガクっと項垂れ、だけど見つかったのなら仕方ない…

「お兄ちゃん 早過ぎない?」

「やっぱり?」

ハハハ…と笑いながら兄が言う

「寧々が朝早くから 家に来るからだろ?コソコソと親父と何か相談してるし、俺も仲間に入れてくれよ…」

「コソコソって…」

「それに俺も越して来る事にした。憧れの同棲生活♪俺、幸せだ…ボディーガードがいた方が安心だろ?」

え~。そんな…独り暮らしじゃないし…兄がいたら、今日みたいな怖い思いしないけど、
今日の誰かの視線って 結局兄だから…何だか納得いかない。

「……お兄ちゃんのバカ…」

と言っても兄は エレベーターに乗って、玄関前まで来て 部屋に入って来た

「俺の部屋 どこにしようか?」

ベッドは私のしかない。だけどシングルではなく、ダブルの大きいベッドだけれど…

「寝室は ここしかないみたいだから、寧々一緒に寝ような…」

あり得ない…その如何にも決定した感じ…

電話が鳴った…

「寧々 奏夢がそっちに行ったみたいだ。あいつ、寧々から離れないと思うから、独り暮らしは無理だな…兄弟仲良くしてね…」

「お父様…どうして?」

「寧々がもうすぐ お嫁に行くから、それまでだけは独占したいんだろ?奏夢に大切にして貰え…」

「わかった。お兄ちゃんに最後 いっぱい甘えて大切にしてもらう。そしてボディーガードしてもらうから、お父様安心してね」

急に抱き締められ、頭にチュッとされる

「寧々 宇宙ほど甘えていいぞ。俺 お前が世界一だからな…」

思わぬ方向に 同居生活になってしまったけれど、これはこれで良かったかも?

でもお兄ちゃんって 家事出来たっけ?

「お兄ちゃんは何が出来る人?」

「寧々を可愛がる事は勿論だけど…寧々とお話や寧々と見つめ合うとか、寧々を抱きしめるとか…」

「///違う。もう、お兄ちゃんは家事出来る?私 ほぼ全滅なんだけど…」

「それなら大丈夫だ。助っ人を用意している…」

は?どういう事か わからない…
「まぁ、深く考えるな。明日からお願いしてるから、今日は二人の引っ越し祝いを 外でしょうか?」

兄に連れられ おしゃれなBALに入って 二人だけのパーティーをした…
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