年下属性はありません!
美樹ちゃんには悪いが,なんとか授業に集中してもらって,中3基礎コースを終える。

今日の締めは中3応用コース。

応用コースは和也君を始め,テストで80点以上取れる優秀な子たちの集まりだ。

授業もかなりスムーズに進み,一番やりやすい。

特に一番優秀な綾ちゃんはどんどん問題を解いていく。

塾で使っている問題集だと足りないくらいだ。

もっと難しい問題集を入れてもらうよう塾長に相談しないとな。

そろそろ受験も見据えてやらなければいけない。

まだ,生徒たちは自覚はないだろうが,受験まであと1年を切ったのだ。こちらとしては出遅れないようにリードしてあげなければならない。

今年の3年生は優秀な子たちが多いので,期待している。

卒業してしまうのは寂しいが,みんな希望校に受かってくれるといいなと思っている。

「じゃあ次は応用問題。次のページをやっていって」

「うわ,こんなん無理だよ。全然わかんねー。」

文章題が苦手な和也君が叫ぶ。

「なんでわかんないんだよ。まず式を立ててみろよ」

和也君の愚痴に答えてくれたのは,正行(まさゆき)君だ。

二人はバスケ部仲間で,正行君が部長,和也君が副部長だ。

正行君は正統派さわやかイケメン,しっかりしていて,毒もなく,男女誰に対しても優しい。

和也君も実は優しいが,照れ隠しか悪態をつくこともよくある。

しかし,テストの点数は和也君が一歩リードといったところだ。

この二人のやりとりは,多くの女子の目の保養になっていることが予想される。
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