年下属性はありません!
どんなに憂鬱でも次の日は来る。

そして,いつも通り塾と言う名の職場に向かうのだ。

だって社会人だから。

「お疲れ様です~」

まずは塾長と今日のスケジュールの確認。

出勤される先生と,授業のある生徒の確認。よし,今日は和也君は授業は入っていない。

その後,宿題のプリントを作ったり,授業で使う物の準備をしたりしていると,あっと言う間に小学生コースが始まる時間になる。

今日も元気がいい子がたくさんだ。

「せんせー聞いて!アイドルのね,○○くんがすっごいかっこいいの!!」

誰・・・?

「そっかそっか,でもノートに落書きするのはやめようね。」

「せんせ,せんせ,できたよー!早く答え合わせして!」

「はいはい,ちょっと先にこっちの子をやってからね」

小学生にとって,先生が何をやってるかなんて関係ない。

遠慮なく,腕をひっぱって自分の気を引こうとする。

みんな自分を見てほしいのだ。

「せんせー」「せんせー」

小学生に振り回されて目が回りそうに鳴っていると,ドアが開く音がした。

「あ,和也君,こんにちわー!今日は早いね~」

塾長が挨拶する。

「うっす。」

短く挨拶して和也君が入ってきた。中学生一番のりだ。

私も笑顔で挨拶をして,小学生の授業に集中する,ふりをする。

無理だって,やっぱりどうしても気になる。
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