年下属性はありません!
今元主任のことは,中学生の間でもヒソヒソと話題になっていた。

イケメンという認識には変わりないのだが,さすが中学生女子,私と同じ警戒をしているようだった。

3コマ目の3年生の授業で聞いたところによると,「なんかホストやってそう」「女の子にお金使わせてそうだよね~!ナンバーワンホストっぽい」「『何飲みたい?』『ドンペリ』とか答えてそう」なんて噂がたって,いつの間にかみんなドンペリ呼ばわりしてるのには笑った。

ドンペリ,確かに(笑)

プライドが高そうな感じがよくでている。

でもロマネ・コンティじゃないよね。そこまで高そうな感じじゃなくて,バブルの成金的なイメージ。

この子ら,私のチャラ男より,いいあだ名つけるな。私もこれからはドンペリと呼ばせてもらおう。

*********

授業が終わり,バイトの先生方は帰り,今日もお掃除タイムだ。

高山先生は本部と電話で打ち合わせ中,ドンペリはPCでメールのやりとりか何かしている。

できるだけ,ドンペリの視界に入らないようブースの机やホワイトボードをせっせと磨くことにする。(また何か注意されると嫌だし。)

そう言えば,今日は和也君見なかったな。ドンペリのことでいっぱいいっぱいで意識してなかった。

ドンペリ登場に加え,和也君とも何かイベントがあったら私の少ないキャパはオーバーしてしまうから良かった。

一通り,拭き終わったが,高山先生はまだ電話中だった。

ドンペリと一対一になるのは嫌だな・・・

私は引き続き床にコロコロをかけることにした。

その時

「木村先生」

キターーーーー。

メールを終えたドンペリが声をかけてきた。

今度は何を言われるんだ??

「熱心に長い間,掃除されてますね」

あなたと二人きりになりたくないからね!

「はは,なんかコロコロっていくらやってもゴミが取れるじゃないですか・・・」

「先生のお家もきれいそうですね。僕なんて男の一人暮らしだから,部屋が汚くて」

そう言って苦笑いする。

へー,この人結婚してないんだ。彼女が掃除したりもしないのかな。

なんかちょっと意外。

「木村先生の旦那様は」

「いえ,独身ですが」

この歳ですが,独身ですよ!こんな会話は慣れたものだ。

まぁ相手も独身ぽいし,そこまで卑屈になることはないだろう。

< 31 / 111 >

この作品をシェア

pagetop