年下属性はありません!
「そうですか。独身ですか」

ドンペリが少し目を細めて笑う。

「僕は本部から来たってことで,警戒されるでしょうが,案外愉快な人間なんで気にせず仲良くしてください」

意外な一言が飛び出した。

愉快,なのか。まぁ陽キャって感じがするしな。

そして,仲良くしてくださいなんてよく言えるなぁ。

そんな台詞言ったことないよ。

この何気ない一言だけで,この人は自分に自信があるんだろうってことが分かる。

イケメンだからなのか??美人に生まれることができれば,こんな態度をとれる人間になれるのか?

私だったら,相手にひかれちゃうかもなんてネガティブにいろいろ考えて,仲良くしてくださいなんて言えない。

そもそも,親しくない人に必要以上に話しかけたりしない。

はぁ,本部でバリバリやる人ってのはこういう人なのね。

躊躇せず,相手の心に一歩ぐっと踏み込む。

チャラ男ってことは揺るがないが,見下しているとかそういう悪い感情は少し薄らいだ。

なんか意外にドンペリっていいやつかも?

「は,はい。こちらこそよろしくお願いします。」

さっきまでは少しも思っていなかった一言が私の口から出てきた。

これがイケメンの人心掌握術・・・

警戒度マックスだった私の頑なな心をいとも簡単に開かせた。

勉強になるわ。
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