年下属性はありません!
「こんにちわ~」

教室に入ってきた和也君と,友達の智(とも)君(中3)に挨拶する。

「こんにちわー」

智君は返してくれたが,和也君には無視された。

そんな智君は不思議そうに和也君を見てる。

「え,和也?どうした?怒ってんの?」

「怒ってねぇし」

すでに自習室に来ている中3メンバーに加わっていつもにもまして乱暴そうに荷物を広げる和也君。

わ,私は悪くないからね!

***************

「先生,質問,いいっすか。」

10分もしないうちに,和也君がテキスト片手に私のところに来た。

「うん,いいよ」

「数学なんですけど」

テキストを広げる和也君。

「てか,なんすかさっきの。ドンペリに何言われたんすか」

小声だけど,しっかりどすの利いた口調で問い詰められた。

あ,ドンペリのこともう和也君の耳にまで届いているのね。

「小学生の,授業の進み,進め方について・・・」

平静を保とうとしてしっかり噛んでしまった。

嘘は苦手なんだよー。

「ふーん」

こんなバレバレの嘘,信じるわけないよね。

でもまさか本当のこと言えるわけがない。

「同じクラスの女子が,変な男が塾に来てるって言うから,来てみたら・・・」

和也君が忌々しそうにつぶやく。
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