年下属性はありません!
「そんなにショックですか?」

ドンペリが少し困ったように言って,車を発進する。

「えぇ,知っている人が少ないので,少し不安で」

「僕がいるじゃないですか」

「そうですね」

ドンペリでも居ないよりは居た方がましだ。

しかし,ドンペリと私はさして親しいわけでもない。

「僕は,木村先生さえいてくれたらそれでいいですけどね」

にっこりと笑ってドンペリが言う。

「あはは,またまた」

ただの社交辞令。

「ほんとですよ。今日は素敵なスカートで,一段とかわいいですね。」

お世辞だと分かっていながら,心臓はどきっとした。

勘違いするな,かわいいのはスカート。かわいいのはスカート。

かっこいい車を運転しているというだけで,なんだかドンペリが普段よりさらにかっこよく見える気がした。

いかんいかん,こんな全然タイプじゃない人にどきどきするなんて。我ながら軽いな。

最近,生徒以外の男の人と関わっていないから,男性ってだけでときめいてしまっているのかもしれない。

なんとか冷静さを保たないと。

あー,高山先生さえいてくれたらなぁ。
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