年下属性はありません!
飲み会は思った以上に楽しくて,すぐに時間が過ぎた。

お酒が入るにつれて,人と人との会話も盛り上がって,坂口さんと小川さんとも仲良くなれた。

ドンペリも楽しげにいろいろ調子のいいことを言っていたが,冗談ぽかったし,もう忘れてしまった。

他の教室長さんとも少しは話せるようになった。

*************

そろそろ終電というところで,会は解散した。

うちの会社は業務開始が午後からのため,明日を心配する人はいない。

「じゃあお疲れ様でした」

みんなで挨拶しあって解散したとき,後ろからドンペリの声がした。

「木村先生,駅まで送りますよ」

「駅,すぐそこなので大丈夫ですよ」

「車も近くにとめたし,そこまで行きましょう」

ドンペリと並んで歩く。沈黙に耐えれず,私から口を開く。

「今日,楽しかったです。ありがとうございました。すごく美味しいお店でしたね」

「おいしいし,居心地のよいお店でしたね。この店にして良かったです」

「今度また友達と来ます。なんて名前でしたっけ」

確か,覚えられないような変な名前だった気がする。

「モルトカリーナ」

ドンペリが教えてくれた。

「イタリア語で,とてもかわいいという意味です。今日の木村先生にぴったりですね」
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