年下属性はありません!
それからの一週間は比較的穏やかにすぎた。

相変わらず,ドンペリは塾で会うと,ニコニコと寄ってきては「今日も木村先生に会えたので一日頑張れそうです」なんて,何も知らない若い女の子だったら勘違いしてしまいそうな台詞を言って,お互い仕事に戻るというのがお約束になっていた。

たまに熊野さんが横にいるときもあって,熊野さんは「またか」みたいな感じで苦笑いしている。

高山先生の言うとおり,他の先生とは会話さえしていない感じだった。

いったいどんな罠が待ち構えているのか,落ちないように心を無にしているが,こうも毎日毎日甘い台詞を囁かれると,やはりドンペリのことが気になってしまう。

くそ,奴の思う壺だ。

もう一つの心配事である和也君に関しては,あれ以来ラインも来ないし,進路相談に呼び出されることもない。

いつも通りの日常に戻ったようだった。

ただ,たまに和也君がいるときにドンペリに話しかけられると,すごい睨んでいるように見えた。

そうして,25日の日曜日。

和也君の進路相談を受ける日だ。
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