年下属性はありません!
「大人の顔を立てると思って」

「わかりました。あざっす」

ファミレス程度で,かわいい奴め。

注文を済ませてドリンクをとってくると,和也君が口を開く。

「ドンペリ,絶対先生のこと好きですよね」

は!?

今,マンガだったら,絶対ブーッて吹き出すシーンだ。

「ちょっと,変なこと言わないで」

「先生にばっかり声かけてるじゃないですか。すごい笑顔で。」

うーん,おそらく利用しようとしているだけなんだけどな。

説明が難しい。

「先生はドンペリのこと好きなんですか」

和也君が不満そうに聞く。

「そういうんじゃないって」

答えに困る。

「もし告白されたらどうするんですか」

「それはー,その時じゃないとわかんないな」

「俺の告白は断ったのに」

「だから,それは和也君まだ中学生だし,生徒だから」

「じゃあ,高校生になったら付き合ってくれます?」

えーっと,高校生になって塾を卒業したら,一応塾の規定にはひっかからないよね。

ただ,相変わらず未成年はだめだろう。

ん?18歳以下がだめなの?二十歳??ちょっとその辺がわからない。

「じゃあ,高校生になったら正式に付き合ってくれるということで」

考え込んでいたら,勝手に結論を出されて焦る。

「ちょっと,待って待って!」

「失礼いたします。こちらフライドポテトと,ハンバーグセットになります」

注文したものが来た。

和也君の視線が私からハンバーグへ移った。

そりゃ成長期だもんね。花より団子ならぬ,女よりハンバーグだよね。

「フライドポテト,食べきれないから,和也君食べてよ」

「まじっすか!あざっす!!」

こんなことで喜んでくれるなんて,年下も悪くないな。
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