年下属性はありません！

どうやら美樹ちゃんは今日の宿題を和也君に聞いているようだ。

和也君の前の席にいそいそと座って，後ろを振り返って勉強している。

塾のテキストを開いてはいるものの，目線はまっすぐ和也君の方だ。

何話してるんだろうなー，授業ブース内は小学生が騒いでいて，外の声は聞こえない。

和也君の隣にいる智くんは空気となって黙々と勉強している。

二人の世界だ。

美樹ちゃんは常時笑顔で，和也君も時折笑顔を見せる。

と，心臓にずきっと鈍い痛みが。

なにこれ。

私あの二人に嫉妬してる？

まさかの自分の感情に少し戸惑う。

中学生の男女が仲良く話しているのを見て嫉妬って・・・

自分で自分が怖い。

ドンペリのことは好きなのかどうなのか良くわからないことが時々ある。

かわいいと言われると嬉しいし，胸がときめくのも感じる。

だけど，和也君に対する感情は，恋愛感情ではないと思っていた。

親が子供を見守るような，温かい感情。

だけど，だとしたら，この胸の痛みはどうやって説明したらいいんだろう。