年下属性はありません!
中学生基礎コースが終わると,ドンペリが入ってきた。

「じゃあ,明日よろしくお願いします。僕はちょっとこれから他教室に行かなきゃいけないので,何かあればラインしてください」

「わかりました,お疲れ様です。また明日」

私達が明日休みをとっていることを知らない人が聞けば,特に何も疑うことのない会話を交わした。

ブース内での会話なので誰かの耳に届くことはないし,誰かの目にとまることもない。

ただ,一人を除いて。

「先生,またドンペリが何か言ってましたね。」

「うん,仕事の話してた。」

「それにしてはドンペリニヤニヤしてましたけどね。先生もなんだか表情が違った」

す,鋭いな。

私が何も言えずに固まっていると,和也君はまぁいいやという態度で,ノートを取り出す。

「宿題,やってきたっす。」

さすが,よくできていらっしゃる。

「うんうん,全問正解。そう言えば美樹ちゃんにも教えてあげたらしいじゃん。美樹ちゃん喜んでたよ」

「あぁ,松井っすか。あいつ,いっつもテスト前とか聞きにくるんすよ。こっちの勉強する時間がなくなる」

そう言いつつ,嫌な顔せず教えてあげてるから,みんな寄ってくるんだよ。

「お,和也早いじゃん」

イケメン正行くんも登場。

「先生,学校の宿題で難しい問題が出たので授業で教えてくれませんか?」

いつ見ても君はイケメンだねぇ。癒されるわ。

「どれどれ?プリント持ってきた?和也君はできたの?」

「は?なにそれ,そんな宿題あった?」

「和也は相変わらず適当だなぁ。ほら,このプリント」

「やべー,俺寝てて,知らねぇ」

この子は・・・

もうちょっと学校でも真面目にやればいいのに。
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