年下属性はありません!
「木村先生,お待たせしました」

「いえ,まだ時間前ですし」

結局夜はなかなか寝られなかったけど,今日のお昼に眠気が来て昼寝した。

なんだかんだ言って結構私のんきだな。

「じゃあ,行きますか。」

ドンペリが歩き出す。

「ここから近いんですか?」

「すぐそこです」

そう言ってドンペリが入っていったのは,全国チェーンの高級ホテルだ。

うわっ高そう・・・

ホテルのレストランなんて,友達の結婚式とランチビュッフェくらいしか利用したことがない。

あ,あと会社の打ち上げパーティーくらいかな。

打ち上げは最悪で,値段が高い割に,料理は安っぽいし,種類も少ないし(サラダとかオードブルくらい),味もおいしくなかった。

過去の苦い思い出に思いを馳せながら豪華なロビーを通り過ぎて,エレベーターに乗り込む。

こういう雰囲気は好きではないが,ドンペリらしいなとも思う。

いつもこういうところに女性を連れてきているのかな。

こういう雰囲気に慣れていない若い女の子なら喜びそうだけど,これでもそれなりに社会人経験のある三十路女にはあまり通用しない。

レストランに到着して,丁寧に案内される。

椅子くらい,自分で引けると思いながら引いてもらう。

引いてもらったほうが座りにくい,なんてこういうお店に慣れていない証拠だ。

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