年下属性はありません!
正行は女子にも分け隔てなく話しかけていた。

俺みたいに女子からいじめに合うこともなく,みんなの憧れの的みたいな雰囲気だった。

女子から絶大な人気があるだろうが,正行には彼女がいることが周知の事実だった。

近所の女子校の高校生で,もともと正行が中1のとき中3の先輩だった。

俺もちらっと見たことがあるが派手な女だった。

おそらくあっちから正行に告白したんだろう。

とにかくそんな女にもてる正行だから,俺は塾に来てほしくなかった。

そのときはなんでか良くわからなかったが。

******************

二年生の最初の中間テストで,俺と智は点数に変化があった。

俺は伸び悩んでたのが嘘みたいに平均より大きく点数が伸びたのだ。

(智も無事平均点が取れた。)

木村先生に報告するととても喜んでくれた。

「よかったねぇ!すごいじゃん!」

「木村先生の授業が分かりやすかったからです。あと,見直ししっかりしました」

テストの問題文も二回丁寧に読んだ。

「和也君が今まで地道に頑張って来たのが実ったんだよ。頑張ってよかったね」

本当に頑張ってよかったと思った。

父さんと母さんもとても喜んでくれた。

「先生にお礼言わないとな」

父さんが張り切っていたが,恥ずかしいから止めた。

でも結局菓子折り持ってお礼に行ってた。木村先生は恐縮していた。

すべてが順調だった。

しかし,一つだけ誤算があった。

俺達の点数を聞いて正行が塾に興味を持ったのだ。
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