年下属性はありません!
次の日,部活前に正行が話しかけてきた。

「俺,あれから体験授業受けて,入塾することにしたよ。これからよろしくな」

「そっか。よろしく」

なんて言っていいのかわからなくて,返事がそっけなくなってしまった。

「木村先生だっけ,あの人分かりやすいな」

正行の言葉に,また俺の心臓にどきんと衝撃が走った。

どんな顔をしていいのかよく分からなくなって,目をそらした。

それを見て,正行がクスクス笑った。

「和也,お前木村先生好きすぎるだろ」

「は!?」

「昨日もずっと俺らの方見てたじゃん。そんなに気になるのかよ」

好き・・・なのか?確かに木村先生のことは嫌いじゃない。

「和也って分かりやすいよな。俺は彼女いるんだし警戒すんなよ。木村先生も俺のことなんとも思ってないよ」

正行に言われて初めてはっきりと自覚した。

俺は,先生のことが好き,なのか。

「和也が塾にのめり込んでる理由も昨日で分かったよ。俺も負けないように頑張らなきゃな。あ,負けないってのは勉強の話だよ」

正行がおかしそうに言っていたが,俺はそれどころじゃなかった。

自分の気持ちに気づいてなかったことにも驚いた。

確かに俺は木村先生に褒めてもらいたくて頑張っていた気がする。

もてる正行と木村先生が話していたら,不安と怒りでいらいらしていた。

これが好きってことか。
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