年下属性はありません!
正行のお陰で自分の気持を自覚することができたが,自覚したからと言って何か変わるわけではなかった。

塾に行って勉強を頑張る。

塾で木村先生を見かけると嬉しいし,木村先生と正行と話していると変なストレスが溜まった。

正行には彼女がいることは分かっていたし,木村先生と正行が何か怪しそうに見えたわけではなかったが,それでもなぜか一人でもやもやしていた。

意味がないと分かっているが,感情ってやつは自分でコントロールすることができない。

どうしようもないときは,バスケにぶつけていた。

バスケをしているときは,変なことを考えずに集中できた。

「和也,お前最近なんつーか鬼気迫ってんな。特に俺に対して当たりが強くない?」

バスケ中もついつい正行を敵視してしまう。

「2年の中じゃお前が一番うまいからな。マークすんのは当たり前だろ」

「そういうもんか?」

正行は納得してなさそうだった。

「ところで和也」

「あん?」

「お前,告白しないの?」

突然のことに俺は言葉を失った。

「あ!?誰に!?」

「誰とは言わないけどさ。」

俺の気持ちに正行だけは気づいている風だった。

「告白なんてできるわけねぇだろ」

その頃,俺の気持ちは空気を入れすぎた風船みたいにパンパンだった。

考えすぎて気持ちだけが先走っているような感じだった。

「別にいいじゃん。告白くらい。告白すれば,お前のそのいらいらも少しはましになるかもよ。」

「そういうもんか?」

正行の真似をして茶化して返事をした。
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