年下属性はありません!
次の日,部活の休憩中に正行が話しかけてきた。

「返事まだなんだって?」

「おぉ,告白した直後に塾長が教室に戻ってきてさ。その後彼氏がいないって聞くだけで精一杯だった。告白してすぐ返事くれって催促するのも困らせるかなとも思ったし。」

「今日,塾行くんだろ?」

「この後行く予定」

「今日聞いてみれば?一晩たったし,何かしら答えは出てるんじゃない?」

「そうしたいけど,二人にならないと聞けねぇよ」

「そのことなんだけどさ,俺思ったんだよ。時々先生と生徒が授業ブースとは違うブースで話してることあるよな。ほら,あのトイレの近くの」

「あぁ,進路相談室みたいなもんだ。相談ブース」

「あそこだったら,声,聞こえないよね」

なるほど,と思った。

あそこなら二人で話してても違和感はない。去年の3年生もよく先生と一対一で話してた。

何を話しているかは知らない。

耳をすませば聞こえるかもしれないが,興味もなかったし,周りもうるさくて聞こえたことなど一度もない。

「あそこに誘ってみるよ。今度から何か伝えたい事があればあそこで伝えればいいな」

「でもさ,今回はそれでいいけど,今後何かあるたびいちいち相談ブースに行ってたら目立つんじゃない?やっぱり連絡先は知りたいよね」

「それもそうだな」

連絡先を交換しないといけないな。

よし,俺に課せられたミッションはその2つだ。①連絡先を聞くこと②返事を聞くこと

俺はさっそく今日実行に移すことにした。
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