年下属性はありません!
聞き間違いかと思った。

だけど,松井は顔を赤くして下を向いている。

多分今告白された,らしい。

まじかー

松井と付き合うとか,虐げられる未来しか想像できなかった。

「お,俺・・・」

何て言おう。

何て言って断るのが,一番穏便に済ませることができる?

「俺,好きな人,いるから,そのゴメン」

正直に言った。

「付き合ってるの?」

「今は,まだ。でも付き合う予定」

松井はちらりとこっちを見た。

「ふーん」

「俺,その人のこと諦めるつもりないし,お前と付き合うことは多分ないと思う」

「そっか。」

松井が立ち止まる。

「じゃあ,コンビニ,一人で行くからいいよ。和は塾戻ってて」

「分かった」

それだけ言って俺は来た道を戻った。

松井は普段とは打って変わって,元気がなくなっていた。

さすがの俺も罪悪感を感じるが,かといってどうすることもできない。

俺の気持ちがそうそう変わることはない。

それだったら,優しい言葉をかけて期待を持たせるより,はっきりと断って諦めてもらうことがお互いのためにいいと思う。

俺が松井を好きになることはないだろうから。
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