人間発注書
☆☆☆

コンビニから村山の屋敷までは歩いて30分ほどの場所にある。


距離は俺の家とあまり変わらないのだけれど、丘を登るのでその分時間がかかるのだ。


その間に俺と新人は村山にどう説明して家に上げてもらうかを思案していた。


新しい可愛い子が入ったからというのが一番食いつきそうな説明だ。


店長やオーナーの代理で来たと言って信じてもらえるかどうかが問題だ。


なんせシールでできた『マネージャー』という役職は、誰でも簡単に見抜かれてしまいそうだ。


村山の屋敷が近づいてくるにつれて俺の心臓はドクドクと音を立て始めた。


さすがにちょっと緊張してきた。


軽い嘘や冗談ならよく言うが、本格的に人を騙したことなんて今まで一度もない。
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