人間発注書
屋敷の玄関はどこまでが玄関かよくわからなかった。


一応は日本なのだから靴を脱いだ方がいいと思うのだけれど、入ってすぐが広すぎるエントランスになっている。


その中央には二階へと上がる大きな階段が付いていて、その横から女性が1人やって来た。


さっきインターフォンで話した人のようで「いらっしゃいませ」と言うその声はやっぱり可愛らしかった。


いや、声だけじゃない。


その容姿もずば抜けて可愛い。


白い肌に大きな瞳。


サラサラの黒髪はポニーテールにされている。


女性の可愛さに一瞬我を忘れて見惚れてしまう。


新人にわき腹をつつかれて、ハッと我に返った。


「あの、村山さんはご在宅でしょうか?」


そう質問する声が裏返った。


俺の緊張はいよいよマックスだ。
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