人間発注書
「夏休み、一緒に遊びに行くんでしょ? それなら、少しくらいお小遣い溜めなきゃダだしね」


そう言うミホコは嬉しそうに頬を緩めている。


ミホコと俺、それにバイト先の新人の3人は夏休みに一緒に遊びに行く計画を立てているのだ。


大学生は高校生の俺たちより忙しそうだけど、どうにか時間を作る事ができたと言っていた。


どうしてこの3人の組み合わせかと言えば、新人からの猛烈なアプローチがあったからだった。


家から近い俺のバイト先に、ミホコは何度も足を運んでいる。


そんなミホコに一目ぼれをした新人は何が何でも接点を持ちたいと、俺にすがりついて来たのだ。


以来、俺は2人の仲を取り持つ事が多々あった。


新人の名前を憶えてもらう所から初めて、2人は随分といい関係になってきているようだった。


今じゃ俺がシフトに入っていない時でも、ミホコが買い物に来ると新人は積極的に話しかけているようだ。


ミホコの方もまんざらじゃない様子で、最近ラインを交換したと言っていた。

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