人間発注書
「はい。ご案内します」


女性は俺たちに一礼し、そして背を向けて歩き出した。


その後ろを追っていくと大きな扉の前に出た。


扉には竜の絵が刻まれている。


全部村山の趣味なんだろうか。


あまりいい趣味とは言えないな。


そう思っていると女性が扉をノックして、中から「入れ」と、男の声が返って来た。


それだけで態度がでかいふんぞり返った男だと安易に想像できてしまった。


「お客様です」


女性がそう言い、扉を開ける。


部屋の中は一言で言うときらびやかだった。


左右にズラリと並んだ大理石の置物。


そのどれもがいろんな竜を模っている。
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