人間発注書
「まぁ、誰だとうがどうでもいい。いい商品が入ったんだろ?」


「は、はい!」


俺は慌てて立ち上がり、バインダーを開いた状態にして村山へ向けて差し出した。


途端に村山の目の色が変わった。


バインダーの中の女性たちをギラギラとした目で見つめ始める。


その雰囲気はとても真剣で、言葉を挟む余地すらなかった。


村山が無言でバインダーを見ている間、俺は気が気じゃなくて背中にいくつもの汗が流れて行った。


しばらくそのままの状態でいると、また別の女性が部屋へと入ってきて俺たちにコーヒーを出してくれた。


その女性を見た瞬間俺は目を丸くした。


出迎えてくれた子や、村山を挟むように座っている女性よりも随分と若い。


俺と同じ高校生くらいか、それより若いかもしれないのだ。


俺と新人は一瞬目を見交わせた。


間違いない。


村山は『人間発注書』で女たちを購入し、この屋敷で暮らしているんだ。
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