人間発注書
「趣味じゃないな」


しばらく無言でバインダーを見ていた村山はそう言ってソファに身を戻した。


「そ、そうですか」


俺は少し腰を上げ、バインダーを手元へと戻した。


その手にもジットリと汗をかいている。


「でも、もうすぐ上玉が入るはずだろう?」


村山がニヤリと口角を上げてそう聞いて来た。


「え……?」


俺は動きを止めて村山を見た。


「Trustの経営は今年に入って急激に傾いているらしいな」


村山の口から出たTrustという言葉に俺は一瞬体をビクリと跳ねさせた。


なぜ突然サイト名なんて出て来たんだ?


そう思いながらも、俺は今までの自分の嫌な予感がすべて的中した事を知った。

< 113 / 304 >

この作品をシェア

pagetop