人間発注書
できること
村山は瑠菜を狙っている。


そしてその事を瑠菜は理解している状況だ。


家に帰って来た俺は真っ先に掲示板を開いた。


最近あまり確認していなかったから、どんな事になっているかわからない。


すると、案の定掲示板内にはTrustの悪評が広まりつつあった。


伸紀が言っていたように粗悪な商品が届いたとか、現金を振り込んだのに一か月経過しても商品が届かないと言ったものまである。


返品や返金を迫っても、受け付けてくれない。


それも、伸紀が言っていたのと同じような内容だった。


しかし、それらの書き込みの数は想像以上に増えていた。


1つ1つをめで追いかけていることも辛くなり、俺はキツク目をとじた。


会社の経営不振が一体いつ頃から始まっていた事なのか、俺は全く知らなかった。


幸い俺が注文した商品が粗悪なものだったこともなく、こうなるまで気が付く事もできなかったのだ。


あれほど瑠菜の事を見ていたハズなのに、何も気が付いてやることができていなかった。


そう思うと、途端に情けなさに襲われた。
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