人間発注書
ここまで来れば、もう瑠菜の両親も『人間発注書』の事を知っていてもおかしくない。


経営が傾いていると知った村山が、瑠菜の両親に『人間発注書』の存在を教えた可能性だってある。


村山はあくまでも合法的な初段を使って人を購入している。


だから誰からも咎められることもない。


俺は強く下唇を噛んだ。


警察だって動くワケがない。


そんなの、どうすればいいんだよ。


好きな女が売られるのを黙って見てろって言うのかよ。


「秋夜、大丈夫? 顔色が悪いよ?」


「あぁ……」


俺は力なく返事をして、自分の席へと向かったのだった。
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