人間発注書
『俺が売られた日。


今日、俺は売られた。
人身売買というやつだ』

マリモのブログの出だしはそうだった。


『人間発注書?


なんだそれ。


俺テレビとか見ないし、ニュースも見ないし。


はじめて聞いた。


だけど、気が付いたら、


俺がそれに載ってたらしくて、


買い手先が見つかったとかで、


旅行先のハワイにまで、


黒服の男たちが迎えにきたんだ。


びっくりした。


俺の言えは裕福で、


別に、俺が働く必要もなくて、


だから中学を卒業してすぐに旅に出たんだ。


もちろん時々帰ったりはしてたけど、1年の半分は海外にいた。


だからなにも知らなかった。


日本は変わって、裕福だった俺の家も変わって。


みんな変わって。


金がなくなった俺の両親は、


金を使うしか能のない俺を売ったんだ』
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