人間発注書
それは知らない間に『人間発注書』に売られてしまった男のブログだった。


『人間発注書』は、本人の同意がなくても売る事ができる。


身内を含む複数人の許可があればいいのだから。


このマリモの場合は、そうやって売られたのだろう。


思えば、自分から売られる事を許可する人間なんて滅多にいることじゃない。


『人間発注書』に載っているほとんどの人たちが、身内に裏切られて売られているのだろう。


『俺は奴隷になるのか?


誰の奴隷になるんだ?


いくら金を用意すれば解放してもらえる?


いくら質問しても、黒服の男は返事をしなかった。


飛行機で日本へ向かう間中、


俺は吐き気が止まらなかった』


それからしばらくはマリモの苦痛ばかりがつづられていた。


自分が遊び惚けていたことが悪かったなら、今からでもちゃんと働く。
だから助けてほしい。


そんな命乞いをするような事が書き連ねてあった。
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