人間発注書
しかし、それから一週間ほど経過すると様子が変化し始めた。


最初の頃マリモは施設に入れられ、購入者にふさわしい教育を受けていた。


その間の辛さが切々と書かれていたのだが、いざ購入された後のブログはとても明るいものだった。


『俺を購入したのはツムギさん。


40代の彼女は農家を継いだのだけれど、


男手がほしかったらしい。


それで俺が選ばれた。


カタログの中で一番筋肉がありそうだったからだって。


ツムギさんはとてもいい人だ。


俺に毎日ご飯とお弁当を作ってくれる。


俺は奴隷になるんじゃなかったのか?』


マリモが戸惑いながらの購入者といい関係であることがわかった。


『俺は今日聞いてみた。


どうして奴隷の俺に優しくするのかって。


そしたらツムギさんは笑ってた。


『私は1人身だから寂しかったのよ。あなたが来てくれたおかげで家の中が賑やかになった』


そんな事を言われたら、俺は嬉しくなっちまう。


奴隷が主人を好きになる事なんてありえない。


わかってるのに、好きになっちまう』
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