人間発注書
マリモの心境の変化に俺は驚いていた。


人身売買で得た物がそんな形になるなんて思ってもいなかった。


「マリモはとてもいい人に買われたんだな……」


それからのマリモのブログにはもうマイナス思考なものは見当たらなかった。


ツムギさんと2人で出かけたことや、畑の作物が育っていく様子が書かれているだけだ。


それはとても平凡な農家のブログのようで、俺は安堵した。


こういった売買もあるのだと、初めて垣間見る事ができた。


購入された人間の全員が不幸になっているワケじゃない。


その例が見られたのは大きかった。


胸の中に膨らんでいた不安が少しだけ払拭された気がする。


「俺が瑠菜を購入することができれば、瑠菜を不幸になんてしないのに……」


そう呟いて、マリモのブログをお気に入りに入れたのだった。

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