人間発注書
☆☆☆

モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、昼休みになっていた。


伸弁当を片手に俺の席まで近寄って来る。


「お前さ、噂聞いた?」


俺が寝不足で猛烈に不機嫌だと言う事もおかまいなしに伸紀はそう聞いてくる。


「なにをだよ」


そう返事をしながら自分の弁当箱を開けた。


俺はアスリートかよっていうくらい米の量が多い弁当に箸をつける。


「あの通販サイト、いよいよヤバイらしいぞ」


その言葉に俺は口に入れた米をまとめて飲みこんだ。


喉に詰まりそうになりながらも、伸紀を見る。


「あの通販サイトって、Trustのことか?」


伸紀が言う通販サイトなんて、1つしかないと知りつつもそう聞いた。


「そうそう! それ!」


「冗談だろ? 経営が傾き始めたって噂を聞いたのはここ最近だぞ? そんなにすぐにヤバイなんて話になるかよ」


内心ドキドキしながらも平静さを装ってそう言った。


どうせ掲示板やらの噂に惑わされているんだろう。
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