人間発注書
雑誌に書いてあることも良好的で、家族間の幸せな様子まで綴られている。


しかし、こうして読んでみるとTrustが瑠菜の両親一代で築き上げて来たものであることが良く分かった。


サイトを立ち上げるまでの苦労、サイトを立ち上げてからの苦労も計り知れない。


瑠菜が生まれた後も2人は懸命に頭を悩ませて事業に取り組んでいたようだ。


つまり、代々続く裕福な家庭とは違うわけだ。


俗に言う、なりあがりというやつかもしれない。


有名になって一時期金回りが良くても、簡単に廃れてしまうときもある。


Trustは今とても厳しい状況にある。


俺は雑誌を閉じて大きく息を吐き出した。


村山の事も書かれていないかと雑誌を手に取って調べて行くが、手掛かりはない。


有名なお菓子メーカーの次男坊だと言う事を思い出し、街の歴史と書かれた本を一冊手に取った。


それは表紙が色あせてきて、随分と年代ものだったのだけれど、その中に村山の家族が経営しているというお菓子メーカーの写真が写っていた。


時代が古く、白黒写真だ。
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