人間発注書
「はじめまして。『人間発注書』販売部の西崎と言います」


男はそうなの理、名刺を渡して来た。


俺は慌てて両手でその名刺を受け取り、名前を確認した。


確かに、『人間発注書 販売部』と書かれている。


西崎さんは俺の向かい側の席へ座り、「驚いた。まさかこんな子供だなんて思わなかった」と、口調を柔らかく言った。


俺はおずおずと席に座り、西崎さんを見た。


なんだか俺の顔を見た瞬間から相手にされていないような感覚があった。


「で? 君が売りたい人間って誰だ?」


「俺が売りたい人間は俺自身です」


そう言うと、西崎は少し目を見開き、そしてため息をついた。


俺が本気なのだと気が付いていないのだろう。


「男でも女でも、若いうちはそれなりの金額になる。だけど、女の方が男の倍の価格になる」


西崎はなんの感情も込めずに淡々とそう言った。


「倍……ですか」


俺は思わずそう聞き返していた。
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