人間発注書
「でも、なにかしていないと落ち着かないんです。彼女の家の借金を少しでも減らす方法を考えていたんです」


「相手の名前は?」


そう聞かれて、俺は一瞬戸惑った。


瑠菜の名前を出していいものかどうか悩んだのだ。


でも、話さなきゃ先には進めない。


そう思った俺は「ある通販会社の娘です」とだけ、説明をした。


男はそれだけですべてを理解したように目を細めた。


「Trustの娘か」


さすが『人間発注書』の関係者だ。


売られる可能性のある人間を把握しているのかもしれない。
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