人間発注書
☆☆☆

ミホコの家は歴史の授業でも紹介される有名な武士の家系だと聞いたことがある。


その話をすると西崎さんは目を丸くし、「なるほど。歴史好きな人間は沢山いるから、それで金額が跳ね上がっていたんだな」と、納得していた。


けれど俺は全く納得なんてできていなかった。


どうしてミホコがこんなものに載っているんだ。


西崎さんにそう詰め寄っても、彼はプライベートな事は話せない。


自分はこの子に関しては何もしらないと言い、何も教えてくれなかったのだ。


とにかくこのことを一刻も早く新人に知らせないといけない。


そう考えた俺は、その足でバイト先のコンビニへと向かっていた。


今日のこの時間帯なら新人がいるはずだった。


それなのに、店内へ入ると高校生のバイト2人がダラダラと話をしているだけだった。
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