人間発注書
新人のアパートから大学までの距離は徒歩で5分ほどだ。


走れば2,3分で到着する。


アパートを出て少し走っただけですぐに大学の建物が見えて来た。


正門まで近づいていくと、広いキャンパスに生徒たちが行き来している。


大学は休日ではないのかもしれない。


俺は少し歩調を緩めて大学の中へと足を進めた。


新人と同じクラスの人に話しかけるのが一番いいのだけれど、さすがにそこまでの判断はつかなかった。


1人でウロウロと歩き回っていると、1人の女性と目が合った。


お互いに目を丸くして「あっ」と、声を上げる。


それはコンビニの常連客さんだったのだ。


「えっと、立木君だっけ? 新人と同じバイト先の」


運よく、彼女の方からそうやって話しかけてくれた。


俺は救われた気分になってホッと安堵のため息を漏らした。


「そうです」


「確か高校生だよね? どうしたの?」


高校生が大学に侵入していることが珍しいようで、彼女は目を輝かせている。
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