人間発注書
高原先生の言葉が重たくのしかかって来る。


確かに、俺たちだけでなにかができるとは思えない。


『人間発注書』は国が認めた人身売買なのだ。


そんなものに勝てるとは思えない。


それでも、なにかしていないと気がすまないだけなのだ。


自分の幼稚さや弱さは十分に理解しているつもりだった。


「それでも知りたいんです。ミホコになにがあったのか」


そう言うと、高原先生は諦めたようにため息を吐き出した。


「人間発注書は当人の同意がなくても売る事ができる。それは知ってる?」


俺は頷いたが、伸紀は驚いた声をあげた。


さっきチラッとサイトを確認しただけだから、詳しくは読んでいないのだろう。

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