人間発注書
「先生が聞いた話だとね。その知り合いの人が白鳥さんのご両親に話をもちかけたようなの。きっと、白鳥さんなら想像以上に高く売れる事をわかってたのね」


そう言い、高原先生は怒りをあらわにして見せた。


眉をつりあげ地面を睨み付けている。


確かに新人は『人間発注書』のついても詳しかった。


そんな中、ミホコが歴史的な人物の子孫であることを知ったとしたら?


金に目がくらみ、ミホコの両親をたぶらかした可能性は出てくる。


俺は立っている事ができなくなって、体育館の壁に手をついた。


「先生は、そういうの全部知ってて止めなかったんですか?」


伸紀がそう聞いた。


その声は怒っていたけれど、メマイがひどくて顔を確認することもできなかった。


「ただの担任教師でしかない私が口を出す権利なんてないわ。白鳥さんのご両親が決めたことだもの」
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